デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進で新たな体験価値を

執行役員
IT本部マネージングディレクター
平野 曉
 

激変するマーケット環境で求められる新しい外食の形

2020 年は新型コロナウイルス感染症により社会全体が大きな打撃を受け、レストランビジネスにおいても、店内飲食が激減するなど非常に厳しい状況に直面しました。一方、そのような状況下でデリバリー・テイクアウトといった中食需要が拡大し、これまでのレストランビジネスの常識にはない「非接触」や「非対面」といった新しい価値観も生まれるなど、食を通じたサービスの在り方も変革が求められています。

マーケットの需要も昼間時間帯へとシフトしてきており、従業員の働き方も変化しています。当社は2020年7月に深夜営業を廃止しましたが、適正化した短い営業時間の中で、顧客の利便性向上や従業員の生産性向上をはかることが非常に重要と考えています。外食業界には、ITデジタルの活用余地がまだ大きく、レストランビジネスの新しい価値創造に向けて、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、外食・中食・内食まで視野に入れた「食の総合型企業」の実現を目指します。

デリバリー需要増に対応したDXの最大活用

自社配達ネットワークにおける配達員専用アプリの開発

デリバリービジネスは、「できたてのおいしい料理を素早くお届けすること」が最大の価値であり、すかいらーくでは自社でデリバリー人財を採用し、最短時間・お届け品質にこだわる配達による売上最大化をはかっています。その際に活用しているのが、「配達員専用アプリ」。注文が入ると自動的にルートが表示、配達員は端末を自転車やバイクに装着し、新人さんでも配達することができます※。GPSで配達員やお届け先の位置や距離を確認し、店舗からもサポートできる等、さまざまな業務が効率化されました。これにより、デリバリースタッフの定着率の向上およびお届け時間の短縮につながっています。

※ 道路交通法に則った利用を徹底しています。

 

共同デリバリーやエリア配達のシステム構築

すかいらーくグループは、自社配達のほか、UberEatsや出前館シェアデリバリーなどの宅配代行サービスも活用し、現在約2,000店舗でデリバリーサービスを導入しています。今後、和食業態や寿司、カフェの業態など、デリバリー需要が見込める業態への新規導入を順次進めていく予定です。しかし、曜日により需要の変動が激しい業態など1店でデリバリービジネスが成立しない業態においては、エリア内の複数業態で配達員を共有し、配送効率を高める「共同デリバリー」のシステムを構築しています。これにより、自社配達導入店の拡大や配達効率の高度化をはかるだけでなく、将来的には当社以外の配達も担うなど、社会のインフラとしての仕組みを築いていきます。

 

「使いやすさ」を重視した宅配サイト

デリバリーサービスをより手軽に活用いただくため、2019年10月に宅配サイトをリニューアル。注文までの入力や操作を減らす等、使いやすさとわかりやすさを追求しました。2020年には、コロナ禍の非対面のニーズに対応し、事前決済を推奨するほか、「置き配」のサービスを新たに導入するなど、お客様のさらなる利便性につながっています。

 

お客様向けのデジタルデバイス活用による利便性向上

デジタルメニューブック

2020年上半期、ガストをはじめバーミヤンやジョナサンの客席テーブルに「デジタルメニューブック」を導入しました。2021年度は、和食業態への拡大を進めています。お客様ご自身でご注文いただくことで、待ち時間を解消できるほか、コロナ禍における店員との接触時間を少なくすることにも寄与しています。店舗クルーがその時間を食器の片付けや次のお客様のご案内、料理を運ぶといった他のサービスに使えるようになり、入店時や料理提供時の時間短縮も実現しました。さらには、清掃にも以前より多くの時間を割けるようになったため、より安全で快適な店舗空間をご提供することが可能になりました。

また聴覚に障害を持つ方からも「注文のしやすさ」について、ご支持をいただいています。商品の注文だけでなく、「お皿を下げてほしい」「デザートを持ってきてほしい」などのサービスボタンも追加し、利便性向上をはかっています。

今後、スマホのアプリと連動させメニューやサービスの開発に活かす等、将来的にお客様とのより深いコミュニケーションを行うための基盤へと進化させることも検討しています。お客様にもっと多くの驚きや楽しみを提供できるよう、デジタル活用をさらに高度化させていきます。

 

豊富な自社会員基盤を活用

グループの業態を統合してサービスを開始した「すかいらーくアプリ」は、累計2,300万ダウンロードを超え、アプリ会員数は約650万、収集されるデータ量は1日約1,000万レコードにおよびます。Twitterでは、ガスト・バーミヤン等7アカウントを運用し、フォロワー数は累計200万、年間インプレッションは10億を超えています。アナリティクス機械学習の活用による自動化により、リアルタイムでパーソナライズしたマーケティング施策が実現できるようになりました。天候や気温に連動したクーポンの精度向上、個別店舗への対策、来店利用履歴や行動履歴の活用、Twitter等のSNS対応やメール対応の自動化を推進しています。公式フェイスブックやInstagramも活用し、ブランディングにも力を入れています。その他、当社には、テイクアウトサイト会員が約150万人、宅配サイト会員が約180万人いらっしゃるなど豊富な自社会員基盤があり、今後これらの基盤を統合することで、デジタルマーケティングのさらなる強化をはかっていく方針です。新しいテクノロジーを積極的に導入し、お客様との関係を強固に築き上げ、新規顧客の流入を促進するとともに、これまでのお客様の来店頻度の向上を目指します。

多様な決済手段への対応

オリンピックでの訪日外国人の来店も見据え2019年より導入したQRコード決済は、現在すかいらーくグループのほぼ全ての店舗に導入されており、9つの決済手段に対応しています。今後セルフレジ導入店舗の拡大も含む新しい店舗システムの開発を進める予定です。

 

店舗のバックオフィスの自動化と従業員コミュニケーションにおけるデジタルデバイス利活用の促進

食材や消耗品の発注業務は一部自動化されていますが、更に精度を上げることを検討しています。また、予測客数や週間予定に合わせたワークスケジュールの自動作成のプロトタイプの構築など、バックオフィス業務の自動化における生産性向上をはかっています。これにより、従業員の業務負担が減り、定着率向上や顧客サービスの充実をはかることにつなげていきいます。
また、コロナ禍で在宅勤務や遠隔でのミーティングなど新たな働き方が定着する中、全社的なチャットやウェブ会議の活用を推進するなど、ITデジタルを最大限活用した業務改革を実行しています。

様々なビジネスモデルに対応できる拡張性のあるシステム基盤の強化

今後すかいらーくの事業の多様化に対応可能となるマーチャンダイジングシステムの刷新をはかるとともに、M&Aに対応可能なシステムインフラのクラウド化・オープン化とセキュリティの強化を促進してまいります。
DX推進は、アナログの域を超えた価値を創造します。当社は、ITデジタルの活用による「従業員の生産性向上」と「お客様の利便性」を強化し、企業競争力を高めていきます。



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