コロナ後の事業環境と経営戦略

日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。

新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表し、お悔やみ申し上げます。また、医療従事者の方々をはじめ、感染拡大防止にご尽力されている多くの皆さまに深く敬意を表します。

2021年度上半期業績と足元の業況について

8月13日に発表しました通り、2021年度第2四半期は売上高618億円(前年比+95億円)、営業利益17億円(前年比+198億円)の結果となりました。上半期累計では、売上高1,267億円(前年比-124億円)、営業利益は5億円(前年比+185億円)です。上半期は前年同期比59億円のコスト削減や22億円の原価低減を実施したことに加え時短協力金を計上し、黒字化を達成しました。

今夏は、新型コロナウイルス影響とオリンピックの開催があり、消費者の出控えが強まりました。さらに、営業時間短縮とアルコール販売停止の要請に従い、ディナー時間帯の売上は大きく減少し、イートイン売上高は低位で推移しています。このような状況を想定し、夏の商盛期は、デリバリー・テイクアウト販売のさらなる強化を推し進め、両カテゴリーの売上実績は計画通り推移しています。一方で、8月以降、変異株による感染急拡大に伴う時短地域の拡大を受け、直近の既存店売上高は2019年比60%台で推移している状況です。

厳しい経営環境が続いていますが、今後、感染状況は一定程度に落ち着くと想定し、ワクチン接種率も上昇していくことから、今秋以降は客数の回復を見込んでいます。第4四半期の売上対策の強化、および、引き続きのコスト削減と生産性改善により損益分岐点の引き下げを実施し、今年度の業績予想(売上高2,850億円、営業利益50億円)は据え置きといたします。

コロナ後の環境認識と経営戦略

コロナ禍を経て、外食することの「意味」や「価値」は以前に増して求められるようになり、消費者の外食先の選別は今後ますます厳しいものとなってきています。当社はコロナ後の消費者像と経営環境を次のように捉えています。

  • ワクチン接種の向上に伴い、政府の自粛規制の解除が進むことで、相対的に外食トレンドは回復する
  • コロナ禍において数多くの食を満たすソリューションが誕生した中で、テーブルサービスビジネスは、「家庭では味わえないメニュー」「品質」「価格価値」が求められる
  • 外出抑制、巣ごもり、在宅等のライフタイルの変化に伴う運動不足や 「食品添加物」「アレルギー物質」による健康被害への関心が高まり、「健康志向」「食品の安心安全」が求められる。


このような消費動向に対応し、より多くの消費者からの支持を獲得し続けるため、次の方針を軸にメニュー戦略を進めていきます。

メニュー戦略

  • 食事目的の来店ニーズに対応し、主食メニューのバリエーション強化など食事動機を高める品揃えを再構築
  • 付加価値の高いメニューをファミリーレストランのプライスゾーンで提供: 高級食材やご当地食材を使用したメニュー開発
  • 健康感や安心安全に配慮したメニュー開発
  • バーミヤン定食など、安くてボリュームのあるメニュー開発と他ブランドへの横展開
  • 地域社会と密着したアルコール需要を開拓し、新規顧客を獲得: アルコール品目数/アぺタイザー品目数増

プロモーション戦略

コロナ禍において広告宣伝費を抑制した中で、効率的なプロモーションミックスによる販促施策を実施しました。実施効果を基に継続改善していきます。

<顧客セグメント別のプロモーションミックスの例>

  • シニア層へは新聞や折り込みチラシなど、媒体中心に販促を実施
  • ミドル男性をメインターゲットに「バーミヤン定食」のリリースを発信し、Webニュースに多数掲載アプリやSNSで更に拡散
  • ミドル女性をターゲットに、ジョナサンにおいて小皿プレゼントキャンペーンを企画し、新聞折り込み・手配りチラシ、アプリ、SNSで告知。客数/客単価増に貢献
  • 若年層へしゃぶ葉の認知向上のため、インフルエンサーを活用し、SNS(TikTok、インスタグラム、ツイッター)で拡散。高いROIを実現
  • グーグルマイビジネス等の店舗検索情報サイトからの流入の促進

<ブランド好感度を高めるプロモーションの展開>

  • 夢庵・藍屋で越中富山丼フェアを実施。対象メニューご注文のお客様全員に疫病退散の御守り「くたべの護符」をプレゼント。シニア顧客に高い支持をいただく
  • ガストで著名陶芸家デザインの「オリジナル小皿プレゼントキャンペーン」を実施。女性顧客からの支持とリピート率上昇の効果を得る

「メニュー/プロモーション戦略」のほか、「店舗開発戦略」と「生産性向上」についても今後の成長に向けた重要な経営戦略と位置付けています。

店舗開発戦略

当社の強みは、20以上のブランドからなる多彩なストアポートフォリオを保有していることと日本全国の店舗に食材を届ける自社工場と物流網を構築していることです。現在、国内に約700店の出店余地があり、これらの強みを活かして効果的な業態転換と新規出店を進め、地域ごとの外食のポテンシャルを引き出していきます。

  • むさしの森珈琲やLa Ohana(ハワイアン)など、専門店ブランドを中心とした業態転換を推進
  • 上半期の収益の改善は、平均EBITDA+1,900万円
  • 居ぬきなど好条件の物件が増えており、投資額を抑えた新規出店が今後も可能
  • バーミヤンの地方への再出店を進めており、売上は好調に推移
  • コロナ禍で休止していた「店舗リモデル」を今秋より再開し、既存店売上の向上を図る

コスト削減と生産性向上

コスト削減、原価低減、生産性改善を継続的に実行し、損益分岐点の引き下げを行い、高収益体質への変革を推進いたします。

  • 2021年上半期売上高は前年比124億円減少。閉店影響を加味した上で従来の収益構造での想定利益217億円減に対し、106億円減にとどまり(協力金を除く)、111億円の利益改善を実現
  • メニュー改定頻度の見直し、食材のブランド間での共通化を進め、店舗人件費、生産性の向上、本部経費等の徹底したコスト削減
  • 工場の生産工程の見直し、生産ラインの自動化、配送頻度の低減、内製品の拡大、食品ロス削減メニューへの改定等により、工場の生産性向上と原価低減
  • デジタルメニューブックの導入ブランド拡大より、店舗生産性の大幅改善

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の進捗

「お客様の利便性」と「従業員の生産性向上」を目的としたデジタルトランスフォーメーションは、経営戦略を推進する基軸として、引き続き強化していきます。

  • すかいらーくアプリの機能拡張を推進。7月にテイクアウトオーダー・事前決済機能をリリースし、アプリからのオーダーは売上純増に貢献するとともに、お客様の待ち時間を大幅削減、従業員の対応時間も効率化。今後、宅配サイトとのID統合、新サービス(通販、店舗予約、デジタルボトルキープ、社食サービス、サブスク等)の機能拡張を計画
  • デジタルメニューブックは7ブランド、2350店に展開。2019年1月比で約9%の生産性改善
  • シニア顧客が多い和食業態の夢庵へもデジタルメニューブックを試験導入。日当たり労働時間2時間以上改善。年内に夢庵全店に導入予定
  • 宅配ドライバーの配達を支援するアプリの機能強化を行い、配達効率が向上。エリア内の複数ブランドを配達する仕組みを構築し、エリア全体の売上増に貢献
  • 配膳ロボット導入の実験を開始。効果検証の上、導入店舗の拡大を検討

サステナビリティの推進

当社は年金積立金管理運用独立行政法法人(GPIF)が採用する4つのESG指数(※)の全構成銘柄に選定されました。外食業界では初めての選出となり、6月よりインデックスに組み入れられました。

※「FTSE Blossom Japan Index」、「MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数」、「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」、「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」


この他、2021年上半期の環境への主な取り組みは次の通りです

  • CO2排出削減:店舗でのもったいないキャンペーンなど、従来からの省エネ活動を継続
  • 節水:節水ノズルの全店設置を計画。2022年以降の3年間で全店に設置予定
  • 食品ロス削減:食材の店舗使用期限と運用基準の見直しを行い、全ブランドで期限統一化
  • プラスチック使用量削減:店舗の包材・備品を環境型素材へ切り替え


将来にわたる持続可能な企業成長に向けては、地球環境の保全を中心としたサステナビリティの取り組みが事業活動においても非常に重要であり、今後もその取り組みを推進いたします。


当社は6月に公募増資を実施し約426億円を調達いたしました。調達資金は、財務体質の改善に加えて、工場投資、IT投資、新規出店・業態転換・店舗改装など、今後の成長に向けた投資に振り向け、企業価値の向上に努めてまいります。

ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。



2021年8月13日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長兼社長 谷 真